流祖の極意書

■極意

極意


柔能剛を制し、弱能強を制も柔は剛を設る所あり。
弱は強を用うる所あり。
兵の形に水を象る。
水の形は高きをさけて低きにつく。
兵の形は実を避けて虚を討つ。水は地に因て制流し兵は
敵によって制勝す。故に水は常に勢なく兵は常に形なし。
能敵に因て変化して勝をとる。之れを神と云う


<意 The Will>

極意

「柔」は「剛」を制し、「弱」は「強」を制するというけれど、「柔」は「剛」を有しているし、「弱」は「強」を用いているからである。
兵の形を水にたとえると、水というのは高いところから低いところに流れるのと同様に、兵の形は実を避けて虚を討つものであり、水が地勢によって流れが決まるのと同じ様に、兵は敵の形によって勝ちを制する。つまり、水は勢いで制するのではないし、兵は常に決まった形がないものだ。
敵によって変化し、勝ちを得る。これを神という。

鬼大城賢雄松金十七世 摩文仁賢和

拳の大要八句

■拳の大要八句

人心同天地…人心天地に同じゅうす(宇宙自然の法則)
血脈似日月…血脈日月に似たり(陰陽の法則)
法剛柔呑吐…法剛柔を呑吐し(身心呼吸の法則)
身随時應変…身 時に従い変に応ず(転身転歩体捌の法則)
手逢空則入…手空に逢えば 則ち入る(技法の法則)
碼進退離逢…進退は 碼りて 離逢す(間合いの法則)
目要視四向…目よく四方を視ることを要す(五感・六感の法則)
耳能聴八向…耳よく八方を聴く(五感・六感の法則)

■修養訓

五条の徳「仁義礼智信」
・仁…慈しみ、やさしい心を持つ事
・義…正しい心を持つ事
・礼…感謝の心を持つ事
・智…悟り、弁えの心を待つ事
・信…誠の心を持つ事

五倫の道
・師弟は義をもって尽くす事
・父母に敬愛をもって尽くす事
・夫婦は和をもって尽くす事
・道場生、兄弟、姉妹は長幼の序をもって尽くす事
・朋友は誠をもって尽くす事

「君子の拳」:君子とは学問を積み、徳行を備えた人格高潔の人をいう。すなわち空手道を学ぼうとする者は、空手道の修業を通して学問を究め、徳行を積んで自己完成に務め、立派な人格者になるように努力しなければならない。

「初心生涯」:何事によらず、最初に心が決めたことは、謙虚な心で、懸命に努力しているが、やがて上達するにつれて慢心しがちなものである。常に初心をもって物事に対応する事が肝要である。

極意の和歌集

■武道訓 糸東流空手道賢和伝

修行観
何事も 打ち忘れたり ひたすらに 武の島さして 漕ぐがたのしき


この道は 折り目を正す道なれば いたらぬとても 身の徳となる


空手とは まず身のかきを本として さて其の後に 人に勝つべし

円容の理
つよめきて ひきあたるをば下手という まりに柳を上手とはいう

三戦
この道の 拳のみなもとたずねやで 浅瀬をはしる 知恵ぞはかなき

剛柔一体
巨いなる 道の心をたずぬれば 剛に柔あり柔に剛あり

技の追求
如何にせば かわし打ちこみ いなづまの 如き早業 つくりいずべき


つくとても 無理やり突くと思うなよ 手の内拍子につくが間の勝ち

合抜け
敵拳の 一寸かわすと見るならば 合抜けて攻め わが身あづけて

入身
入り身する こころざしある人ならば 勝つことやめて負けてみよがし

進退
手先にて 突き出す拳は弱みなり 踏み込みつくも身にて突くべし

除破急
ゆるやかな 動きの中にひそめたる 研ぎに研ぎたる 急変の拳

すだれ
わが色は 敵に知られぬ手立てにて 考えてとれ 敵の色合

勝負
思えただ 勝負は時の運ぞかし 己をつくすひとのまことを

体得
この道は よく習いつつよくおぼえ 忘れて勝つぞ手の内という

研修
のびのびと 稽古の時によく負けて まことの勝ちのあるようにせよ

守破離
この師をば 成程えらみとりたらば わが思惑は捨ててつとめよ

清濁併呑
兵法は こころざしさえ正しくば 濁もあじわい心してとれ 

技法無限
空手とは 上手と人に言われても へりくだらねば一生の下手

任道
軽くなく 重くはあらじおそからず 急ぐ心をあしきとぞいう

極意
深山路を ほのかにみれば奥ふかし 分け入り行かば里に出けり

仁儀礼智信
つねづねに 五常の心なき者に 家伝の兵法認可許すな

君子の拳
世を保ち 国の守りとなる人の 心に兵法つかわぬはなし

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